#355 ファミコン敬語

前々回からの続きとして、今回は内藤篤志氏の担当節である「敬語の変化」について取り上げます。 本章では、昭和21年連載開始の『サザエさん』と平成15年の『コボちゃん』という2つの漫画作品を比較し、時代による敬語のあり方の変化を考察しています。『サザエさん』では、母・フネが我が子3人に対して敬語(丁寧語的な用法や自身の品位を保つための敬語)を使っていたり、フネやサザエが波平に対して敬語を使っていたり(当時の男尊的な風潮のあらわれ)、サザエが近所の子供たちにも丁寧語で接していたりと、現代から見ると特徴的な描写が多く存在します。一方の『コボちゃん』では、義理の両親などを除いて家族間では常体語が用いられており、現代人の日常感覚としっくり重なります。このことから、『サザエさん』の描く敬語表現もまた、当時の人々の感覚と一致していたのだろうと推察できます。 ...

2026-7-31

#354 流行的方言の背景

前回の井上先生の論文の中から、土手康瑛氏の節では「流行的方言」がコミュニケーションの資源となっている点が取り上げられています。 ここで取り上げられている「流行的方言」とは、女子高校生をはじめとする若者の間で、電子メールなどの文字によるコミュニケーションの際に、自身の出身地とは異なる(例えば東京生まれであっても)地方の方言をあえて使用する現象を指します。具体例として、東京生まれの女子高校生が「なまら(北海道弁)〜やないか(大阪弁)」といった表現を使用し、それが流行語大賞に選ばれるような事例が挙げられています。 ...

2026-7-30

#353 コミュニケーションの動態

井上他(2006)の序では、ガンパーズが1970年代から展開してきたコミュニケーションモデルについてまとめられています。それは、言語コミュニケーションにおいて副次的なメッセージがいかに機能しているかという点に焦点を当てたものです。具体的には、「言語によるコミュニケーションにおいても、非言語的なシグナルが言語的メッセージの解釈に制約を与え、コミュニケーションの慣習を共有している限りにおいて、ある解釈を誘導する」と示されています。 ...

2026-7-29

#352 方言区画論について

東條(1950)による「方言区画論」の説明によれば、この理論は「国語がいくつかの方言に分けられること」を説くものであると説明されています。 東條氏は、それまでの東部方言・西部方言という二大方言説を修正し、まず「本州方言」と「九州方言」に改めました。さらに本州方言の中に、東部・中部・西部の小方言を立てたと説明しています。 ...

2026-7-28

#351 方言周圏論について

石黒(2013)を読み進めていたところ、方言の伝播する方向性について、民俗学者の柳田國男(1930)が唱えた「方言周圏論」が取り上げられていました。これは、かたつむりを指す言葉が近畿地方を中心として、「デデムシ」→「マイマイ」→「カタツムリ」→「ツブリ」→「ナメクジ」というように同心円状に分布していることを発見したものです。方言周圏論では、このように都で生まれた新しい方言が、各地へ放射状に広がっていくと考えられています。 ...

2026-7-27

#350 手でなく目を貸す

またもや、7月23日の新聞でとても興味深い記事を見つけました。 看護師さんが別の看護師さんに向けて使う「目を貸してくれる?」という言葉についてです。これは「ダブルチェックをする」という意味なのだそうです。 ...

2026-7-26

#349 「義実家」の背景とこれから

本日の朝、平日に読めずたまっていた新聞を読み進めていたところ、7月22日の記事で社会言語学者・中村桃子先生の記事を発見しました。 「『義実家』から見える、価値観の変化」というタイトルのその記事では、辞書に収録され始める一方でいまだ違和感を持つ人もいる「義実家」という言葉について、中村先生は家族関係の新たな枠組みを示すものとしてポジティブに捉えていらっしゃいました。 ...

2026-7-25

#348 行為を数える「一服」

LUPICIAのアプリ登録特典でお茶の「おたより」と季節のお茶を、なんと無料で毎月いただいています。 8月号のおたよりの中に「特集 いっぷくのおはなし」という記事がありました。そこでは「服」という漢字の成り立ちをはじめ、なぜお茶を「一服」と数えるのか、「一服」が表す日本独自の文化やその広がりの背景について述べられています。 ...

2026-7-24

#347 AI使用による影響

昨日に引き続き、7月21日付の朝日新聞朝刊にあったAI関連記事からですが、「文章作成AI使用 人の意見変わる恐れ」という興味深い実験を紹介する記事がありました。 ...

2026-7-23

#346 ハルシネーション(幻覚)

AIに関する記事で、いくつか気になったものを取り上げたいと思います。 まずご紹介したいのは、7月20日の朝日新聞に掲載された「他社倒産の記事、AI混同? 企業のグーグル検索誤表示」という記事です。ここには、実際には営業しているにもかかわらず、グーグルのAI検索で「事業停止」と誤表示されてしまった、岩手県矢巾町の繊維製品卸売業「岩手繊維」の事例が取り上げられていました。 ...

2026-7-22