#122 1秒4文字のルール

字幕翻訳について、井上(2017)の分析では、恐れずに簡潔に言えば、字幕は文字数の制約があるため、その状況で視聴者に受け入れられやすい形で訳される傾向があるとされます。ここでは、ソース文化の情報をできるだけ残す「異質翻訳」の価値を否定するわけではありませんが、字幕というメディア特有の制約の中では、その場面にふさわしい形で意味を調整していく「受容翻訳」のほうにコミュニケーションの原理がより表れやすいとして、この側面に着目して分析が進められています。 ...

2025-12-10

#121 友人でも後輩でも

社会言語学の授業でポライトネスを扱っていたのですが、井上(2021)は「第1章 英語は『独立』志向である」の中で、助言の場面に注目していました。例として挙げられているのが、『千と千尋の神隠し』でリンが言うあの勇ましいセリフ、「いま釜爺のところに行かねえほうがいいぞ」です。しかし字幕では、“I wouldn’t go right now(私だったら今は行かないなあ)” と訳されています。 ...

2025-12-9

#120 ミームの構文的な性質

前回に引き続き、Dancygier & Vandelanotte (2017)の論文から、具体的に取り上げられていたインターネット・ミームの例を紹介したいと思います。その一つが “said no one ever”(だれもそんなこと言わない)というミームで、たとえば添付した画像のような形式をしています(以下画像添付)。 ...

2025-12-8

#119 ミームについて

今日は、ミーム(meme)について、Dancygier & Vandelanotte (2017)の論文をもとに少し整理しておきたいと思います。この論文では、インターネット上のディスコースがこれまで以上に「画像と言語表現の組み合わせ」に依存するようになっている点に注目し、インターネット・ミームが、認知言語学や構文文法の射程を拡張する上で重要な素材になりうると論じています。細かな分析はまた次回に回しますが、まずはミームという概念そのものについて、論文でどのような整理がされているのかを書いておきたいと思います。 ...

2025-12-7

#118 カタカナ語と社会

祖父の一周忌で長野に来ています。祖父はかなりの記録魔で(その傾向は父にも受け継がれているのですが)、地域の歴史だけでなく、自分史まできちんと文書化し、ファイルにまとめていました。80を過ぎてもその姿勢は変わらず、夕方まで農作業をしてから、夜遅くまでパソコンを打つ音が聞こえてきたのをよく覚えています。 ...

2025-12-6

#117 2拍で落とす?

腰痛が続いており、最近はリハビリに通っています。そこで理学療法士の先生とお話ししていたところ、先生が M!LK という男性アイドルグループのファンで、しかもその楽曲の中に「好きすぎて滅!」というタイトルの曲があることを知りました。 ...

2025-12-5

#116 文字論について

まだ語用論学会で発表した内容について、いただいたコメントをもとに色々と考えています。 ソーシャルメディアでは、「(笑)」「w」「草」が状況に応じて使い分けられている可能性や、それぞれの機能を考えるうえで、これらを「文字論」として位置づけるとより説得力が増すのではないか、という指摘もいただきました。 ...

2025-12-4

#115 駄洒落のルール

Sacks (1973) の On Some Puns: With Some Intimations という論文を読みました。これは、「草(kusa)」の使用を考えるうえで参考になるかもしれない、というご意見をいただいたことがきっかけです。 ...

2025-12-3

#114 謝ることの難しさ

Blum-Kulka and Olshtain の Requests and Apologies: A Cross-Cultural Study of Speech Act Realization Patterns (CCSARP) を読んでいます。この論文では、語用論という分野の射程は明確に定義しづらいものの、さまざまな研究が共通して抱える基本的な関心について、次のように述べられています。 ...

2025-12-2

#113 草のバリエーション

11月29日、30日と語用論学会で、開催校としてのお手伝い、そして共同発表をしました。たくさんの方々に来ていただき、本当に嬉しかったですし、厳しい意見やアドバイスも含めて、今後に必ず生かしたいと強く思う時間になりました。 ...

2025-12-1