#354 流行的方言の背景

前回の井上先生の論文の中から、土手康瑛氏の節では「流行的方言」がコミュニケーションの資源となっている点が取り上げられています。 ここで取り上げられている「流行的方言」とは、女子高校生をはじめとする若者の間で、電子メールなどの文字によるコミュニケーションの際に、自身の出身地とは異なる(例えば東京生まれであっても)地方の方言をあえて使用する現象を指します。具体例として、東京生まれの女子高校生が「なまら(北海道弁)〜やないか(大阪弁)」といった表現を使用し、それが流行語大賞に選ばれるような事例が挙げられています。 ...

2026-7-30

#352 方言区画論について

東條(1950)による「方言区画論」の説明によれば、この理論は「国語がいくつかの方言に分けられること」を説くものであると説明されています。 東條氏は、それまでの東部方言・西部方言という二大方言説を修正し、まず「本州方言」と「九州方言」に改めました。さらに本州方言の中に、東部・中部・西部の小方言を立てたと説明しています。 ...

2026-7-28

#351 方言周圏論について

石黒(2013)を読み進めていたところ、方言の伝播する方向性について、民俗学者の柳田國男(1930)が唱えた「方言周圏論」が取り上げられていました。これは、かたつむりを指す言葉が近畿地方を中心として、「デデムシ」→「マイマイ」→「カタツムリ」→「ツブリ」→「ナメクジ」というように同心円状に分布していることを発見したものです。方言周圏論では、このように都で生まれた新しい方言が、各地へ放射状に広がっていくと考えられています。 ...

2026-7-27

#342 方言に世界観をみる

7月18日は「地球ことば村」7月のことばのサロンにて、谷口ジョイ先生の講演「『言語の島』井川(いかわ)でのフィールドワーク」に参加しました。 先生のご著書『ある言語学者の事件簿』は精読というより乱読にとどまっていましたが、本の中での書きぶりよりも、先生のお話し方がとても落ち着いていられて素敵だったことも印象に残っています。 ...

2026-7-18

#333 方言とアイデンティティ

『新英語教育』に掲載されている神崎高明先生の「同じ地域の英語話者はみんな同じ英語を話しているか?」という論考を読みました。データ自体はその後更新されている部分もあるかと思いますが、英語に限らず面白い指摘がいくつかありましたので、書き留めておきたいと思います。 ...

2026-7-9

#319 言語の消滅に関わる3M?

大学内で他の先生のご研究の発表を伺う機会がありました。ある地域の方言について、そのアクセント体系を記述されているとのことだったのですが、その後のディスカッションで、恥ずかしながら私の知らなかった情報をいろいろと得ることができましたので、こちらにまとめておきたいと思います。 ...

2026-6-25

#258 周辺にはじまりを見る

真田(1981)によれば、柳田国男は『毎日の言葉』において、挨拶言葉が本来の意味を失い、形骸化していく過程を詳しく考察しています。以前取り上げた「おはよう」や「こんにちは」「こんばんは」といった言葉も、今では言葉自体が持つ具体的な意味は消失していると言えます。しかし真田は、こうした定型化こそが、むしろ「挨拶言葉らしい」挨拶の誕生であると述べています。 ...

2026-4-25

#28 聞き手を再考する

昨日(9/6)参加した社会言語科学会のシンポジウムでは、「疑似インポライトネスとしての毒舌キャラの発言」をテーマにした佐藤亜美先生のご発表を拝聴しました。 ...

2025-9-1

#4 お盆のコミュニケーション

お盆で、父の実家のある長野県飯田市に来ています。 今年は祖父が亡くなって初めてのお盆ということで、親戚一同が集まりました。せっかくなので、ここで感じたコミュニケーションの面白い点を少しご紹介します。 ...

2025-8-14