#257 動物も人間も
今回は、あいさつの本質について考えるなかで、鈴木孝夫先生の『「あいさつ」とは何か』を拝読しました。 本の中では、イギリスの人類学者マリノフスキーが提唱した「phatic communion(話すことによる一体化)」という概念が紹介されています。マリノフスキーが未開社会の生活を詳しく調査したところ、人々にとって「出会った相手が口をきかない」という状況がいかに不安や恐怖を抱かせるものであるかが明らかになりました。つまり、言葉を交わす「あいさつ」という行為そのものが、情報を伝えるという目的以上に、人と人とを心理的に安定した共通の場に引き入れる重要な役割を持っているというのです。 ...