#257 動物も人間も

今回は、あいさつの本質について考えるなかで、鈴木孝夫先生の『「あいさつ」とは何か』を拝読しました。 本の中では、イギリスの人類学者マリノフスキーが提唱した「phatic communion(話すことによる一体化)」という概念が紹介されています。マリノフスキーが未開社会の生活を詳しく調査したところ、人々にとって「出会った相手が口をきかない」という状況がいかに不安や恐怖を抱かせるものであるかが明らかになりました。つまり、言葉を交わす「あいさつ」という行為そのものが、情報を伝えるという目的以上に、人と人とを心理的に安定した共通の場に引き入れる重要な役割を持っているというのです。 ...

2026-4-24

#256 いつでもオハヨー

学生たちが日常的にどのような挨拶を交わしているのか興味を持ち、簡単なアンケートをとってみました。厳密な集計は行っていませんが、回答を眺めてみると、その日初めて会う相手には時間帯を問わず「おはよう」と言ったり、親しい仲では「やっほー」「おつかれー」といった言葉が多く使われたりしている印象を受けます。 ...

2026-4-23

#39  ファティック〇〇

そろそろ後期が始まるので、授業をどのように進めようかイメージしはじめています。昨年からは、多くの英語の授業で、最初にスモールトークの時間をとるようにしてきました。 ...

2025-9-1

#3 プレゼンテーションはインタラクション

担当している多くの授業で学生にプレゼンテーションをしてもらっていますが、その際に力を入れているのは、話し手よりも聞き手側の練習です。 その背景には、話し手の発話が聞き手によって変化するというオーディエンスデザインの考え方(”In audience design, speakers accommodate primarily to their addresse" p. 145)があります(Bell 1984)。ベルはラジオのニュースキャスターの発話スタイルを対象にしていますが、そうしたメディアの発信は、一方通行のように見えて、実は双方向的なインタラクションで成り立っている(多々良 2017)という主張も意識しています。これらの考え方はもともと語の選択やイントネーションといった発話スタイルの変化に注目するものですが、プレゼンテーションの場では、プレゼンターの発話内容やその質、情報量にまで広く適用できると私は考えています。 ...

2025-8-13