#340 社会語用論について

「社会語用論」について、色々とその名の出る論文を読んでいました。 小野寺(2006)では、「歴史語用論」の分野の成立過程や、守備範囲とする時代区分、研究対象となってきた言語やトピック、さらにはデータの制約などが丁寧にまとめられていました。歴史語用論は、歴史言語学の伝統的な方法論と、語用論において発達してきた方法論を組み合わせることで、歴史的言語データの分析と言語の発達の分析に新たな視点を持って取り組む分野です。そこでは、現在より前の時代のコミュニケーションを、発話行為や含意、ポライトネス、談話標識といった語用論的現象を通じて描写していきます。何よりも「language in use(ことばの使用)」を研究の中心として捉える明確な姿勢が示されているのが印象的でした。 ...

2026-7-16

#131 ポライトネスについて(3)

B&L(Brown & Levinson)のポライトネス理論では、具体的なポライトネス・ストラテジーとして、5つの主要な方略が挙げられています。ここでは、宇佐美(2002)をもとに、その内容を簡単に整理しておきたいと思います。 ...

2025-12-19

#130 ポライトネスについて(2)

前回の記事に引き続き、宇佐美(2002)からまとめます。 取り上げたいのは、Brown & Levinson(以下 B&L)のポライトネス理論に対してよく向けられる、「文化差を考慮していないのではないか」という批判に対し、異を唱える形で提示されている「フェイス侵害度見積もりの公式」です。 ...

2025-12-18

#121 友人でも後輩でも

社会言語学の授業でポライトネスを扱っていたのですが、井上(2021)は「第1章 英語は『独立』志向である」の中で、助言の場面に注目していました。例として挙げられているのが、『千と千尋の神隠し』でリンが言うあの勇ましいセリフ、「いま釜爺のところに行かねえほうがいいぞ」です。しかし字幕では、“I wouldn’t go right now(私だったら今は行かないなあ)” と訳されています。 ...

2025-12-9

#93 プロンプトに有効な視点

授業で Scollon and Scollon(1995)の論文を読んでいて、「Politeness(または face)system」についての説明がとても分かりやすく整理されていると感じました。さらに、この論文をもとに発表してくれた学生の話を聞いていて、これは ChatGPT などに英語の言い回しを尋ねたり、メール文面を作成してもらったりするときに、有効なプロンプトを考える上でも重要な視点になるのではないかと思ったので、ここに記しておきます。 ...

2025-11-11

#88 逆説的なフェイス

Ron ScollonとSuzanne Wong Scollonの “Interpersonal Politeness and Power” を読んでいます。この中で、face(フェイス/面子・面目)の定義や用語整理が非常に明快に書かれていたので、ここにまとめておきたいと思います。 ...

2025-11-6

#61  相手の意向を問う誘い方

英語で依頼(「手伝ってくれない?」)や誘い(「一緒に飲みに行かない?」など)を表すときに、Do you want to help me? や Would you like to go for a drink? といった表現を使うのが少し苦手だなと感じることがあります。今日はその理由を少し掘り下げてみたいと思います。 ...

2025-10-1

#62 ちょっと読んで欲しいかも・・・

2025年9月25日の記事「つねに負け戦の婉曲表現」で触れたように、お手洗いに行くときに「ちょっと行ってくる」と言うときの「ちょっと」は、直接的な表現を避けるためのぼかし表現で、英語では “hedge(ヘッジ)” と呼ばれます(これまで「垣根表現」と訳してきました)。このような言い方は、<排泄>という直接的な行為をそのまま伝えることで相手を不快にさせないための方略として、婉曲表現として定着するに至っています。 ...

2025-10-1

#63 前置きで緩和する

昨日に引き続き、今日はヘッジ(hedge)について書きたいと思います。もともとは、ネガティブ・ポライトネス・ストラテジーとしてのヘッジを取り上げるつもりでしたが、Brown and Levinson(1987)を読み直す中で、以前「2025-8-24 本音が言いにくい」で考えた「これ言ったらハラスメントになるかもしれないけど…」のような“逃げ”の前置き表現に関係する部分があり、そちらを紹介したいと思います。 ...

2025-10-1

#6 断り方もいろいろ

この時期になると、毎年思い出すことがあります。それはたいてい、過去のちょっとした後悔からくるのですが、決してネガティブではなく、「次はこうしよう」という前向きな気づきですので、よろしければお付き合いください。 ...

2025-8-16