唐須先生は『文化の言語学』の中で、ハケット(Hockett, C. 1958)が挙げた人間言語の特徴をもとに、動物たちのコミュニケーションシステムとの比較を通して、ヒトのことばの特徴を7つにまとめています。

それは、①二重分節性、②生産性、③恣意性、④互換性、⑤特殊化、⑥転位(可能)性、⑦文化伝達性の7つです。

まず①の二重分節性について、先生は次のように述べています。

文を分節にして語に分け(第一次分節)、語をさらに分節して音に分ける(第二次分節)というメカニズムである。この場合、最小の単位である音素が、それ自体では何も意味しない単位であるということが重要な要素になってくる。従って、逆に言うと、音素という、それ自体では意味のない音素を組み合わせて語という単位を作り、さらにそれらを組み合わせて文を作るという機構である。

さらに、次のように続けています。

音素というせいぜい数十個の、それ自体は意味を持たない単位を組み合わせて、語(あるいは形態素)という有意味な単位を作り、さらにそれらを一定の規則に従って配列するという作業を通して初めて無限に多くの意味を大した努力もなしに識別することが可能になってくるのである。このような組み合わせの原理を持ったシステムは、他の動物のコミュニケーションシステムには発見されていない

つまり、人間の言語は意味を持たない音素の組み合わせによって、無限に新しい意味を生み出すという点において、他の生物とは大きく異なる仕組みをもっています。

続いて②の生産性については、次のように述べられています。

われわれは、今まで一度も聞いたことが無いような表現を用いて自由に話すことができるし、聞いている人も、それを新しい文だと意識しないで完全に理解することができる

この特徴をよく示す例として、子どもが言語を習得する過程で犯す誤りが挙げられています。たとえば、英語を学習中の子どもが “best” の代わりに “most good” や “goodest” と言う場合があります。これは単なる模倣ではなく、“more beautiful” や “smartest” などの形から類推によって新しい形を生み出したものと考えられます。

先生は次のようにまとめています。

つまり、われわれは、規則を適用するというやり方で、次々に新しい表現を生産し、それを完全に理解することができるのである。

数回、引用ばかりになってしまいますが、言語の特徴について明日も引き続きまとめていきたいと思います。


参考

須教光(1988)『文化の言語学』勁草書房Hockett, Charles F. (1958). A Course in Modern Linguistics. Pearson College Division.

Keywords
二重分節性、生産性