11月6日の朝日新聞朝刊にあった「(FOOD発見)レシピを読む:下 明治近代化、家庭向け料理書のはじまり」という記事を読みました。この記事ではレシピの変遷が取り上げられており、時代ごとの言葉遣いや記載項目の変化に着目して読むと、非常に興味深く感じられます。
例えば、日本最古の料理学校と称される赤堀料理学園に保存される明治時代のレシピ(オニオンスープ10人分)の説明には「中ぐらいなるタマネギ3個、スープ7合、塩およびコショウ粉少々、バター茶飲み茶わんに8分目」とあり、手順についても「ソース鍋に右分量のバターをいれて火にかけます、よく沸騰してまいりましたらタマネギをいれて御飯杓子にて攪拌します、タマネギが軟らかになりましたら7合のスープを加えまして…」と記されています。
記事の中ではその言葉遣いについて特段指摘されてはいませんが、分量の示し方が「茶飲み茶わん」など独特(茶わんによって差が出てしましいそう…)というだけでなく、「…(まいり)ましたら」のような謙譲語が見られて、実際に話しかけているような口ぶりだなと感じました。
記事によると、江戸時代にも料理書は出版されていたものの、当時は食材の組み合わせやごく簡単な手順が中心で、挿絵も少なく難解な内容だったそうです。それが明治時代になると西洋料理の流入とともに近代化が進み、西洋式に時間配分や分量を具体的に示す書き方が取り入れられ、客観的な数値を使った現代のレシピの基礎が築かれていきました。
さらに、「家庭料理」という料理人と区別された家庭向け料理書という分野の登場についても触れられています。これは、近代資本主義国家を目指す明治政府が国家を「家」の集合体ととらえ、家庭の安定を重んじ、女性は家庭を守る存在として家事全般を管理するよう求められたという背景が紹介されています。そのため、当時の料理書には料理をつくること、そして家族で囲む家庭料理を発展させることが「経済的であるだけでなく、家庭の和楽醸成の実現につながる」などと情緒的な家庭料理の意義などの記述も見られるという点で、その時代における料理のポジショニングを映し出していて、面白いなと思いました。
参考文献 https://www.asahi.com/articles/DA3S16582258.html
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