多々良・松井・八木橋(2022)によると、「構文(construction)」は「複合的な内部構造をもつ言語単位」と定義されています。必ずしも「文」だけに限定して使われるわけではないため、「構成体」と呼ばれることもあります。

構文を考える上で特に重要なのは、「部分が全体を動機づけてはいるものの、必ずしも全体は部分の総和になっていない」という点です。つまり、全体を優先的に把握する「ゲシュタルト」のような認知的な特徴を、構文自体が持ち合わせていると指摘されています。

これとは対照的に、構成要素それぞれの意味を単純に足し合わせることで全体の意味が導き出されるという考え方は「構成性の原理(the principle of compositionality)」と呼ばれています。

しかし、この構成性の原理だけでは説明がつかない表現も数多く存在します。たとえば、「by and large(概して)」は接続詞 and で結ばれている品詞が異なる変則的な表現ですし、「topless judge」は単純な「上半身裸の裁判官」ではなく、「topless dressを着た人が働くtopless barがある地区(topless district)で起きる犯罪を裁く裁判官」というように、いくつもの段階を経た意味を持っています。また、「lazy lobster」も怠け者のロブスターではなく、「めんどくさがりな人でも手軽に食べられるロブスターのむき身」を意味します。

ところで、私がフライングタイガー(Flying Tiger)に行くたび、買おうかどうしようか迷っている「lazy glasses」という商品があります。ぜひ先ほどの「lazy lobster」の例をヒントに、これが一体どんなメガネなのか想像してみてください・・・。


参考
多々良直弘・松井真人・八木橋宏勇 (2022). 『実例で学ぶ英語学入門:異文化コミュニケーションのための日英対照研究』 朝倉書店.

Keywords
構文、ゲシュタルト