授業で使っている教材(津田 2001)の中に、日本でのミシンの訪問販売に関する談話が実例とともに紹介されていました。最初にそれを見たときは、「もう訪問販売なんて最近はあまり見かけないけれど、今でもこういった形で商売は機能するかしら…」と感じていたところです。

そんな折に見つけたのが、朝日新聞の11月2日朝刊に掲載されていた、2026年アメリカ中間選挙における「戸別訪問」に関する記事でした。最初は「なんとアナログな手法なのだろう」という感想を持ちましたが、その背景も含めて非常に興味深く拝読しました。

記事によると、日本では選挙といえば街頭演説や選挙カーでの「連呼」がおなじみですが、アメリカでは「戸別訪問(ドアノッキング)」が大きな役割を果たしているとのことです。実際、この戸別訪問は日本の公職選挙法では禁止されているため、日米のルールの違いを感じさせられます。

冒頭で触れた訪問販売の衰退とも通じる部分ですが、取材の中で実際にしっかり話に応じてくれた人は25軒中5人と、有権者に直接接触できるのは全体の1〜2割程度だそうです。やはり直接受けて立つ人は少ないのが現実のようです。それでも、投票所に行けないという人に郵便投票の方法を教えたり、AIによる偽情報や不安を煽る広告が増加する中で、課題や候補者を正しく知ってもらう有効な方法と考えられています。

さらに興味深いのは、こうした一見アナログな活動がテクノロジーによって強力に支えられている点です。専用アプリを活用することで、有権者の住所や年齢、支持政党、過去の投票履歴などを確認しながら効率的にアプローチできる仕組みが整えられています。

このように、戸別訪問は変化を起こすための重要なコミュニケーションとして今なお機能しており、他にも手書きのポストカードを送る動きなどが見られるそうです。

また記事の中では、明治大学の海野素央先生のコメントとして、戸別訪問が高校生や大学生のインターンシップとしても機能している点が紹介されていました。事前に「説得トレーニング」を受けるなど、対面でのコミュニケーション能力を身につける教育的な役割も果たしているという視点は、非常に印象的なものでした。


参考
津田葵(2001) コミュニケーションの日米比較. 大阪大学出版会. https://www.asahi.com/articles/DA3S16579241.html

Keywords
説得