八代ほか(2009)では、Takahara(1974)の研究を取り上げ、言語による「意味」の違いについて説明されています。

この研究は、アメリカ人、フランス人、日本人を対象に、marriage / mariage / 結婚 という言葉からの連想について、3つの言語圏でのパイロット調査から得られた26語の中から選択してもらうという方法で行われました。

その結果、フランス人は「愛」「情熱」「性」「理解」「相手に対する感受性」を多く選び、アメリカ人は「愛」「尊敬」「責任」「理解」「助け合い・問題の分かち合い」を選びました。一方で、日本人は「信頼」「家族」「理解」「問題の分かち合い」「妥協」を多く挙げるという違いが見られたそうです。

実際に私が担当する授業で80名ほどを対象に「結婚に求めるもの」について尋ねてみたところ、収入の安定、話し合いができること、価値観の一致、思いやりといった回答が多く寄せられ、「愛」という要素はそれほど前面には出てこない印象を受けました。

八代ほか(2009)では、「法律で規定された結婚はフランスでもアメリカでも日本でもそれほど違わないかもしれないが、結婚に寄せる期待や心構えは決して同じとは言えないかもしれない。そして文化や母国語が違えば、同じ概念を指していてもその『意味』は異なっている可能性がある」と主張されています。


参考
八代京子・町惠理子・小池浩子・吉田友子(2009). 『異文化トレーニング:ボーダレス社会を生きる』 三修社.
Takahara, N. (1974). Semantic concepts of “marriage”, “work”, “friendship” and “foreigner” in three cultures. In J. C. Condon & M. Saito (Eds.), Intercultural encounters with Japan (pp. 205–216). Simul Press.

Keywords
異文化コミュニケーション