泉(2023)の『悪口ってなんだろう』にある「13悪口の文法」では、悪口の言語的な特徴についてまとめられています。
まず、「きもい」や「うざい」などの形容詞のほか、「あほ」「バカ」「まぬけ」といった言葉は、「あほな人」「バカな行為」のように「な」を使って名詞とつながり、修飾語や述語として用いられます。また、「嘘つき」「老害」「バイキン」などの名詞は、「あの嘘つきが~」のように特定の人やものを指す指示表現として使われたり、「あいつは嘘つきだ」のように述語として使われたりします。
こうした単語の組み合わせや文の形式にもいくつか種類があります。「JがKだ」「JはKした」といった「平叙文」では、主語と述語の二つの部分それぞれで悪口を言うことができます。たとえば、「あの方は嘘つきだ」という文において、主語と述語の両方に悪口を入れると「あいつは嘘つきだ」のようになります。また、動詞によって態度を示すこともでき、「~やがる」や「~しちまう」といった表現を使い、「また邪魔しやがった」のように表す例が挙げられています。
次に「命令文」としては、「どっか行けよ」や「黙りなさい」などがあります。命令文は、指示する側としての自分の権力や優位性を示すことにつながると言われています。
そして「疑問文」の特徴として、「なぜ」や「どうして」のあとには、それに続く事柄があたかも事実であるかのように話を進められる点が挙げられます。たとえば「どうして太陽は東から昇るの?」と言えても、「どうして地球は平らなの?」と言うのが不自然であるのと同じ仕組みです。「どうしてあなたは一生懸命やらないの?」と問うことで、「一生懸命やっていない」ということが当然の事実として前提され、陰湿な方法で相手の評判を下げることができます。
こうした疑問文を利用した言葉による迷惑行為として、「シーライオニング(sealioning)」も紹介されています。これはウェブ上のコミックにおいて、言葉遣い自体は丁寧であるものの、無茶な質問(「根拠を示していただけませんか?」など)を繰り返し投げかけるキャラクターがアシカ(sea lion)であったことから、その名がつけられたということです。
Wikipediaより
参考
和泉悠(2023)『悪口ってなんだろう』ちくまプリマー新書.
Keywords
悪口