文化の定義について、岡部(1996)は「文化とは、ある集団のメンバーによって、幾世代にも渡って獲得され蓄積された知識、経験、信念、価値観、態度、社会階層、宗教、役割、時間・空間関係、宇宙観、物質所有感といった諸相の集大成であるといえよう」と定義しています(矢代・小池 1998)。
私たちは、こうした頭の中に蓄積された観念をもとに、建築物や自動車、衣服、料理といった物理的なモノを作り出しています。このように文化には、目に見えない「観念的文化」と、目に見える「物理的文化」が存在します。それぞれの文化によって異なる部分もありますが、基本的なところでは人類共通の部分も存在しています。
カーター(1997)はこれを「文化の島」というモデルで示しました。水面の上に見えている部分はそれぞれの文化が離れているように見え、水面下には無意識的な価値観や行動規範の違いが存在します。しかし、さらに深い芯の部分、たとえば生命維持に必要な行動やコミュニケーション、食べる・眠るなどといった側面は共通していると考えられています。
普段私たちが触れている日常的な文化——どのような服を着て出かけるか、交通規則を守ること、仕事の進め方や褒められ方、お酒の飲み方などは、あまりにも身近で常識的であるがゆえに、その重要性を意識しにくいものでもあります。
参考
Carter, J. (1997). The Island Model of Intercultural Communication. SIETAR Japan Newsletter, July, 15.
岡部朗一 (1996). 文化とコミュニケーション. 石井敏・岡部朗一・久米昭元(著), 古田暁(監修)『異文化コミュニケーション』(p. 42). 有斐閣.
八代京子・小池浩子 (1998). 『異文化トレーニング:ボーダレス社会を生きる』 三修社.
Keywords
文化の島、異文化コミュニケーション