授業でアメリカの地域方言について触れました。社会言語学では、いわゆる「標準語」とされる言葉も等しく1つの方言として捉えます。

東(2007)では、方言を他の方言と区別する際の主な要素として「発音」「語彙」「文法」の3つが挙げられています。決定的な定説があるわけではありませんが、アメリカの方言は大きく「北部(ニューヨークなど)」「中部(ピッツバーグなど)」「南部(アラバマなど)」の3地域に分けられています(もちろん、この大枠の中でもさらに細かな地域差が存在します)。

アメリカでは多くの人が国内を転々と引っ越して生活するため、このような地域分けがあくまで便宜的なものであるという点も深く納得できます。仕事をはじめとするライフスタイルの移動の多さが背景に感じられますが、最近では日本でも以前より比較的移動が増えてきている印象を受けます。

方言の違いを具体的に見ると、語彙レベルでは地域ごとの興味深い差が現れます。例えば「紙袋」のことを北部は bag と呼ぶのに対し、中部や南部では sack と呼びます。また「トウモロコシ」も北部・中部では corn-on-the-cob ですが、南部では roasting ears と呼ばれるなど、地域特有の産業や活動に結びついた言葉の違いが見られます。

発音の違いにおいても、例えば greasy の s 部分を [s] と発音するか [z] と発音するか、which を [hw] と発音するか [w] と発音するかといったバリエーションが存在します。

文法上のバリエーションは発音や語彙ほど大きくはありませんが、The old man passed (away / on / out / Ø). のような表現の選択や、It is (he / him). といった代名詞の選択などに違いが現れる点が挙げられています。

比嘉・ニコラス(1989)によると、日本の地域方言(沖縄方言や津軽弁など)には互いにほとんど聞き取れないほどの大きな隔たりが存在するのに対し、アメリカの地域方言は基本的にお互い問題なく聞き取れる範囲の差に収まっているそうです。

英語の地域方言については山ほどYouTubeに上がっていたので比較に最適なものを探してストックしたいなと思っています。


参考
東照二 (2009) 社会言語学入門<改訂版>: 生きた言葉のおもしろさに迫る. 研究社. 比嘉正範・ニコラス J. ティール(1989)『アメリカの言語文化〈2〉アメリカの社会と言語』放送大学教育振興会.

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地域方言