比嘉・ニコラス(1989)では、日本とアメリカにおける社会言語学の違いについて説明されています。
日本の社会言語学は、第二次世界大戦後に「言語生活研究」という名のもとで始まりました。主な研究課題としては、方言や共通語、敬語、国字、外来語などが挙げられます。
一方で、アメリカの社会言語学は1950年代以降に脚光を浴びるようになりました。多民族・多文化・多言語国家であるアメリカでは、言語接触(language contact)の問題が大きなテーマとなっています。移民を通して異なる二つの言語が接触した際にどのような変化が起こるのか、またバイリンガリズム(bilingualism)やバイリンガル(bilingual)の人々の特徴、それに対する国家政策のあり方などが研究されています。
さらに、アメリカでは言語教育も重視されています。日本の国語教育とは異なり、アメリカの言語教育では「聞く・話す・読む・書く」という4つの言語技能を発達させることが理想とされています。
これは、文法的に正しい「教養ある英語」を使えなければ、社会的に不利な立場に置かれてしまうという背景があるためです。このように、言語教育の実施状況の調査や、不利な立場に置かれる人が生まれる原因や過程を明らかにすることも、アメリカの社会言語学における大切な使命であると述べられています。
参考
比嘉正範・ニコラス J. ティール(1989)『アメリカの言語文化〈2〉アメリカの社会と言語』放送大学教育振興会.
Keywords
社会言語学、言語生活