昨日の麻里氏の論文で引用されていて気になった、Danaher and Dagger(2013)を読みました。

この研究では、オーストラリアの大手百貨店が実施した1か月間の割引セールキャンペーンを対象に、多様なマーケティングメディアがそれぞれどの程度良い影響を与えているのかを調査しています。

分析対象となったメディアは10種類に及び、以下の3つのカテゴリーに分類されています。1つ目はテレビ、新聞、ラジオ、雑誌などのマスメディア。2つ目はオンラインディスプレイ、スポンサード検索、FacebookやTwitterをはじめとする電子メディア。そして3つ目が、カタログ、ポスタルメール、メールマガジンなどのダイレクトメディアです。

分析手法は非常に複雑です。顧客である百貨店会員の購買履歴やDM接触履歴、オンライン調査の結果に加え、各メディアへの接触率などが用いられています。さらに、セール期間外の購買実績やテレビ視聴時間といった多様な変数もコントロールした上で算出されているようです。

分析の結果、10媒体中7媒体が購買成果に有意な好影響を与えていることが明らかになりました。一方で、効果が見られなかった3つの媒体は、雑誌、オンラインディスプレイ、ソーシャルメディアでした。

論文の中でも特筆すべき点として挙げられているのは、新しいメディアが効果的なのではないかという予想に反し、最も効果が高かった上位メディアがすべて伝統的なメディア(カタログ、テレビ、ダイレクトメール)だったことです。

売り上げに影響を与えなかった3つの媒体についても理由が考察されています。まず雑誌に関しては、今回のプロモーション目的というよりは人気女性誌への掲載であったため、ブランドイメージの構築に重点が置かれていた点が要因とされています。また、オンラインディスプレイ広告とソーシャルメディアについては、セール対象品が実店舗限定販売でオンライン購入ができなかったため、広告からそのまま購買へつながる動線がなかったことが挙げられています。ただ、これら2つのオンライン系メディアは店舗の公式ウェブサイトへの訪問者数を有意に増加させていたため、メディアごとの役割や機能の違いが見られたとも述べられています。

まだまだ「オールド」メディアも捨てたものではないなと感じ、オールドメディアラバーとして、個人的に少し嬉しくなりました。


参考
Danaher, P. J., & Dagger, T. S. (2013). Comparing the relative effectiveness of advertising channels: A case study of a multimedia blitz campaign. Journal of Marketing Research, 50(4), 517-534.

Keywords
メディアの違い, ソーシャルメディア, マス・メディア