私が研究対象としている企業の対外的なメッセージは、最近ではさまざまなメディアを通じて発信されています。そうした背景もあり、現在はメディアによるマーケティングについて色々と文献を読み漁っているところです。

麻里(2023)はKaplan and Haenlein(2010)を参考に、ソーシャルメディアの特徴として、それ以前に見られた単一方向のコミュニケーション構造に双方向性と即時性が加わった点を挙げています。これにより、互いがコンテンツの制作者であり閲覧者となり、コンテンツを通じて相互にインタラクションが可能になったと説明されています。

マーケティングの世界でもソーシャルメディアの活用自体は指摘されていましたが、「ソーシャルメディアマーケティング(SMM)」という用語が主要なジャーナルに掲載されたのは2009年のことで、当時はまだ包括的なレビュー論文も存在しなかったといわれています。麻里氏は、この2009年から2020年までのSMMに関する論文のレビューを行っています。

黎明期である2009年や2010年の研究では、「ソーシャルメディアの登場により市場や消費者行動がどのように変化しつつあるか」「既存のマーケティングがどのような影響を受けるか」といった点が議論されていました。そして、その後の研究は大きく4つに分類されています。

1つ目は、eWOM(electronic Word of Mouth; 電子的なクチコミ)やUGC(User Generated Contents; ユーザー生成コンテンツ)など、消費者が多くの人々に向けて簡単に情報発信できるようになった背景に関する研究です。2つ目は、Social Listeningなど顧客の声を聴く重要性の高まりと、それに伴うテキストマイニングや感情分析といった大量の情報の分析手法、そしてそれらをどのように成果につなげるかという研究です。3つ目はCommunityに関するもので、参加者間の共通の関心を核とする相互作用や他の集団との境界への意識など、ブランドコミュニティについての研究です。そして4つ目がCommunication Channelで、企業がマスメディアを使わなくてもソーシャルメディアを通じて効率よく情報を発信できるなど、新しいマーケティングコミュニケーションの手段として捉える研究です。

私自身はどちらかというと、実際にはどのようなやりとりが行われているのか、という言語的実践の側面に目が向いています。多くの人の目に触れる場所だからこそ、そこには社会的に求められる姿や、これから求められるコミュニケーションの一端が現れているのではないかと考えるからです。今後は他分野におけるメディアの位置づけなども踏まえながら、さらに学びを深めていきたいと思っています。


参考
麻里久. (2023). ソーシャルメディアマーケティング研究の現状と今後の方向性. マーケティングジャーナル, 43(2), 70-77.
Kaplan, A. M., & Haenlein, M. (2010). Users of the world, unite! The challenges and opportunities of Social Media. Business Horizons, 53(1), 59–68. doi: 10.1016/j.bushor.2009.09.003

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ソーシャルメディア