
学期が始まり読書の手が止まりつつありますが、大事に読んだ一冊。 印象に残ったのは、あることばが悪口ではなく、軽口とか冗談に過ぎないと考えられる理由の一つに、やりとりがイーブン、あいこになっていることが挙げられています。これが難しくなるのがデジタル空間で、芸能人やアスリートなどの著名人の投稿に対し、
場合によっては、何千件や何万件の悪口が並ぶ訳ですから、「アホ」「アホ」の一対一に持ち込むためには、何千何万回と言い返さなくてはならず、そんなことは不可能です。やりとりの数という意味で、イーブンな関係はありえないわけです。
また、狩猟採集民のエピソードも面白かったです。
…狩猟の腕前や、持ってきた獲物についてバカにするのが、サン人の習慣のひとつだったのです。平等に分け与えられた肉をもぐもぐしながらでも、「これはひどい!」「何の価値もない!」などと言うのがごく当たり前だったのです。
その理由はというと、
狩りがうまくいくと、若者はすぐに調子に乗って大物ぶってしまうので、それをいさめるために獲物のことを小馬鹿にする…「私たちは自慢をする人間を認めません。そのような人は、いつか、その自尊心のせいで誰かを殺してしまうからです。だから、獲物がたいしたことがないということを常に言って、その人の頭を冷やして、穏やかな人間にするのです」と。
イーブンがキーワードになっている気もした本でした。